特殊詐欺グループから違法収益の電子マネーを安く仕入れ転売、マネーロンダリング容疑でIP電話回線業者逮捕
2021.09.30のニュース記事
特殊詐欺による違法な収益と知りながら電子マネー利用権を買い取ったとして、神奈川県警捜査2課などは29日、東京都や横浜市などの26~39歳の男5人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)容疑で逮捕したと発表した。同課は、5人が3年余りの間に、約57億円の電子マネーを特殊詐欺グループなどから額面より安く買い取ったうえで転売し、差額で稼いでいたとみている。
捜査幹部によると、特殊詐欺では、ウソの電話をかける「かけ子」、被害者宅に現金やキャッシュカードを取りに行く「受け子」などに役割が分かれるが、電子マネーを現金化する「換金役」の摘発は珍しい。
最近、特殊詐欺を中心に現金ではなく「電子マネー」を騙し取るケースが増加しており、特殊詐欺グループが被害者から騙し取った電子マネーを犯罪収益と知りながら安く買い取って転売していた別のグループが組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)容疑で逮捕されたというニュースです。
特殊詐欺グループの一般的役割分担は以下のように「掛け子」「受け子」「出し子」があることが知られていますが、今回の逮捕で新たに電子マネー(Amazonギフト券など)を現金化する「換金役」が存在することがわかったということですかね。
- 「掛け子」…被害者に詐欺の電話を掛ける役
- 「受け子」…被害者宅に訪問して現金やキャッシュカードを受け取る役
- 「出し子」…ATMで現金を引き出す役
- 「換金役」…電子マネーを買取業者に売り現金化 ←New
また、同時期の他のニュース記事ではこういった電子マネーを詐取する特殊詐欺グループが「マネーロンダリング」をしており組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)容疑で逮捕、その手法について触れています。
福岡県警捜査2課によると、ボ社は特殊詐欺用に回線を貸し出す業者で、国内での取扱数が大規模とされる。貸し出した先の特殊詐欺グループによる被害は2013年以降の約8年間で約4600件、計約80億円に上るとみられ、経営実態の解明を進める。
逮捕容疑は、2人は共謀して昨年7月10日、IP回線を貸し出した特殊詐欺グループが青森市の女性(当時56歳)から通販サイトの未納料金名目でだまし取った電子マネー(5万円相当)を現金化するため、買い取り業者に出品し、代金として3万6725円を口座に振り込ませたとしている。口座に入った犯罪収益はボ社に流れていた。
特殊詐欺グループが犯罪実行に使用していたIP電話回線を貸し出していた業者が実は特殊詐欺グループにIP電話回線を貸し出すための業者(共謀関係)であり、詐欺で得た違法収益を会社資金に投入していたとのこと。

特殊詐欺の実行に当たり、IP電話回線業者が実行グループに回線を貸し出し、実行グループは詐取した電子マネーを別の換金グループに安く流す、換金グループは電子マネー買取業者を使って差額で収益を出し現金化、その現金をIP電話回線業者へ資金投入しマネーロンダリング(最終的にIP電話回線業者が特殊詐欺の犯罪収益を使い利益を出す)、という仕組みとなっているようです。